第3章 キミが好き*花巻貴大
「……ヤキモチ焼いてたの!!!ばか!!!!」
「……!?!?」
急に顔を上げて怒鳴られたと思ったら、両襟を強く引っ張られた。
花香は今にも泣きそうな顔で「貴大、ごめんね…」そういうとそのままキスをしてきた。
それは一瞬だったのかもしれない。
気づいたら花香は泣いていて………
「…………」
それでも、それだけで俺の頭を混乱させるには十分だった。
「え、待って…なに、今の……は?」
両襟から離された手に目がいく。
色が変わるくらいに強く握っている。
「……マジ………?」
後で考えると慌てすぎて自分を殴りたい。
ゆっくりと花香が頷く。
それを確認した時には、既に抱きしめていた。
「…俺の方が好き…」
夢かと思った。