第3章 キミが好き*花巻貴大
名前を呼ぶと、困ったような顔をした花香が顔を上げた。
「…………」
「…ちょっ!?」
何かと思えば、花香はそのまま俺の手を引いて走り出した。
「………ごめん。」
次に聞いたのはそれだった。
「それは何に対して?」
少し言い方がキツくなる。
朝から全く意味が分からない…今も。
「全部…かな。無視して、避けてごめんなさい…」
だんだんと声が小さくなる花香を見ていると、やっぱり避けられていたのかと思う。
「俺が何かした?」
そう聞くと横に首を振る。
「そっか。でも急に避けられるとさすがに傷付くから…」
「…………た」
「え?」
更に小さくなって聞き取れなかった言葉を聞き返す。