第3章 キミが好き*花巻貴大
次の日。
何事もなかった……んだけど、花香の顔を見るとそんなこと言ってる場合じゃなくなった。
「……おい!!なんだよその顔!!!」
挨拶をする暇もなく、思わず大きい声を出してしまった。
「え…あっ、貴大。おはよう…」
「おはようじゃなくて!!どうしたんだって聞いてるんだよ!」
いつものように挨拶をしてくれた彼女だったが、その顔…目が酷い事になっていた。
「腫れて赤くなってるじゃん…」
そう指摘すると一瞬困ったような顔をして、花香は曖昧に笑っただけだった。
「貴大、もう予鈴鳴っちゃうから行くね?」
本当に大丈夫だから。
最後にそう釘を刺された為、結局理由を聞けなかった。
俺が気付くくらいだ。相当酷く、学校中…とはいかなくとも、学年ではちょっとした騒ぎになっていた。