第2章 初デートをキミに*及川 徹
「花香ちゃん、そんなにくらげ好きなの?」
「はい、大好きです。」
あれから色々周っていたのだけれど、くらげの入っている水槽の前から動かないでいた。
初デートと言えば水族館だ。
そう言ったのは、よく少女まんがでそういう展開があるのを読んでいたから。
でも、実は無類のくらげ好きだからここに来たかったのもある。
かれこれ10分は動いていない。
「花香ちゃん、そろそろ行こうか。まだ先はあるし…ね?」
「もう少しだけ……」
いつまでも動かない私に痺れを切らしたのか、先輩は繋いでいた手を放した。
「そんなにくらげが好きなら、及川さん置いてっちゃうからねー?」
その声と共に、少しずつ離れていく足音が聞こえる。