第2章 chapter 2
「はぁー…疲れた」
「お疲れ」
京香が誰もいない部室で微笑む。
一瞬、胸が高鳴った。
確かに、最近綺麗になった感じはある。
「まだ残ってたんだ」
「片付け任せられて」
「手伝うよ。玲衣はもう帰っちゃったし。」
「ありがとう。俊優しいね。」
「当たり前じゃん」
2人は少し笑う。
「京香、最近綺麗になったよな」
京香の手が止まる。
「本当?」
少しびっくりしたような表情で俊を見つめる。
「お…おう。みんな言ってるし、最近いっぱい告白されてんだろう?」
「あぁ、まぁね。」
「好きな人でもできたか?」
「え?」
「あ、いや、告白断ってる理由が好きな人がいるからだって…」
京香は急に焦ったような顔をする。
「聞いちゃマズかった?」
「ううん。大丈夫。」
「で?」
「いるよ。好きな人。」
「え!誰!?水輝か?」
「水輝くん…?違うよ。あの人まだ私のこと好きなの?」
「あ、あぁまぁ…」
「そっか」
なんだかマズいことを言ってしまった気がした。
「ね、俊」
「はい」
「両想いになるのって大変だよね」
「はい?」
「相手が自分を好きになってくれるとは限らない。アタックをしても気持ちが自分に向くとは限らないでしょ?」
「まぁな…」
「いいなー!そうやってがんばって一緒になった2人って!」
「そうだけど…どうしたの急に?」
「私が邪魔しちゃダメだよね…」
そう言った京香の瞳は潤んでいた。
「京香、泣いてるのか?」
「泣いてないよ。」
「でも、目」
「じゃあね!」
京香はバッグを掴むと猛スピードで教室を飛び出す。
「…片付け」
「あ、俊さん。片付けやってくれるの?」
「部長!!話…」
「なんのこと?私もう帰らなきゃだけど」
部長はとぼけてるわけではなさそうなので、安心する
「…やります」
「よろしくね」