第9章 キミは誰と☓☓☓する
シャワー室へ入った私はブースに入れてもらいシャツを脱がされた。
「大丈夫ですから一人にしてください。私、一応女なんですよ?」
笑ってみせると、京谷先輩は舌打ちした。
でも気のせいかな?
目元がほころんだ気がしたんだ。
シャワーのノブをひねる。
最初は冷たかった水が温まりだす。
それを頭から浴びる。
「うっ…ひくっ…」
途端に喉から嗚咽が漏れ出して涙が滝みたいにこぼれた。
一一好き。
そんな言葉、軽々しく云いたくなかった。
あの人に…。
大嫌い。
ああやって、雑草みたいに私をたやすく手折る。
根こそぎ刈り取る。
私の矜持を。
体だけじゃなく、中身まで踏みにじられて。
「うわあぁぁーん」
涙が止まらない。
カチャ
振り向く。
戸が開いて、京谷先輩がいた。
「あ、の…大丈夫です」
「大丈夫じゃないだろが」
手が伸ばされてシャワーが止まった。
タオルでがしがしと乱暴に頭をぬぐわれる。
「あの人がああなのは今に始まったコトじゃねーから気にすンな」
云いながらわしわし顔をふかれた。