第8章 及川先輩と、が、☓☓☓
瞬きをした途端一筋涙がこぼれた。
それをうつむいてやりすごし、私はベストから腕を抜き頭からはずす。
グレーのブラウスの裾をスカートから出しボタンをはずしていく。
一一涙はもう乾いた。
から顔をあげたら…。
及川先輩は勿論、みんな私を見てる。
目をそらすとか見ないふりをする人なんかいない。
みんな視てる。
私の…手元、つまり、む、胸。
思わず手が止まる。
「どした、木原、何なら今からでも俺らにかえるか?」
松川先輩が私の肩口から顔を出した。
ハァ、と耳に熱い息がかかる。
なん、か。
ま、ずい?
やばい、よね。
「い、いえ、大丈夫です」
一瞬やっぱり変えようかなんて思ってしまった。
松川先輩の声が、声が、い、色っぽくて…。