第1章 丁重にお断りされていただきます。
「吸血鬼の種をもらって妖魔化しなくてもね、王の寵愛を受けた、つまり血を吸われた人間の末裔は何代かに一度王の特徴をあらわすんだ」
一一つまり俺達は吸血鬼(バンパネラ)なんだよ。
及川先輩の話はあまりにとっぴすぎた。
ベンチに座り話を聞いていた私は救いを求め岩泉先輩を見た。
が、一一彼はしごくマジメな顔で私を見返してくる。
嘘、じゃ、ないのか?
信じられないし…、
「丁重にお断りさせていただきます」
首を横に振る。
私にはこんにゃく芋の花を咲かせる大切な仕事があるのだ。
「ま、そーくるんじゃないかと思ってたよ。もしね、君がこの話を受けてくれたらさ、部長会議で園芸部の部費、上がるように進言してあげるよ?」
『お、ん、し、つ、ほしいんだよね?』
韻を踏んだ声で云われ、私の心は揺れた。
一一温室!