第7章 夜のお茶会
お茶を置いてスタンドの上の可憐の前に立つ。
まだ花が咲くのは先の話だけど、青々と茎を伸ばす可憐が愛おしい。
こんな植物、それも値段がつくような綺麗な花でもない物のためにここまでするなんてばかげているのかもしれない。
でも部長にもらった可憐は私が初めて夢中になった物だ。
水のあげ方、肥料のやり方、土の作り方、鉢の中に入れる物、日照。
一一枯らしてもいいから、ともかく育ててみなよ、木原さんがさ。
そう云われて渡された黒いビニールポットに入った可憐。
部長がしているように、名前をつけて世話をしながら毎日話しかけ、植物の本を読み漁った。
他人からしたらばかげていても、私は可憐を、ルチィアーノを守りたい。
寒い冬を温かく過ごせる新しい温室や設備を買うお金がほしい。