第38章 afternoon date.
まだ百面相をしている渡先輩の手をとる。
温かい。
「無いなら、栄養補給します?」
意味をわからせるように先輩の手の血管を指でなぞる。
「えっ、…いや、…」
渡先輩がたじろぐ。
でも渡先輩は吸血衝動が薄いとかで滅多に自分から飲みたいと言い出さない。
それは良い事でもあり悪い事でもあるらしい。
良い一一吸血しない方が後々後遺症が出にくい。
悪い一一体調をくずして初めて貧血に気が付く。
バンパネラは人より簡単に貧血になる。
飲まずにいる事は可能だが体調をくずす事もままあり、出来るだけ少量は経口補給した方がいいらしい。
ただそれにかまけて大量に飲み続けると血液の経口補給がくせになる。
運動部ともなれば燃費も悪いのである程度飲みたい時にすぐ補給できるようにするのだという。
そんな理由から私が血を売り払う事によって園芸部は温室という恩恵にあずかれた。