第38章 afternoon date.
ともわれ一一
「そ、それは…」
たじろぐ渡先輩に私は笑う。
「私じゃだめですか?」
だめだ、いやだ、と云われたら流石の私も引くしかないが、渡先輩ができるだけ血を切らさないように見てて、と及川先輩からも頼まれているし。
「だっ」
「はい」
「だめなワケないじゃないですかっ」
握った手を押し返さんばかりのいきおいで云われとっさに頷く。
「飲みたいです。だめじゃない…」
むしろ飲みたい一一まるで自分で噛んで含めるような言い方に私はちょっと驚く。
渡先輩がこんな苛烈な感情をだすのを初めて見たかもしれない。
「じゃ、あっ…」
飲んで一一と続けようとした私は長椅子に押し倒され首筋を咬まれた。
まるで野獣が足をもつれさせた草食獣を引き倒し襲いかかる様に。