第35章 Holic Date.
目の前の矢巾先輩だって。
「そこら辺をぶらぶらと…」
間違ってはいない。
「で?した?」
矢巾先輩は何のためらいもなく聞いてくる。
したし、吸われたりもした。
デートの時だけは及川先輩と岩泉先輩以外も首筋から血を吸って良いとのお達しが出ているらしい。
矢巾先輩は笑ってこちらを見ている。
飽きもせず。
「しましたよ」
これくらいは私からしゃべってもいいだろう。
矢巾先輩がそっと私の頬に触れた。
「いだい」
クレープをまふまふしていた私はつねられた。
「正直だな」
だって嘘ついても仕方ないし。
「クレープおいしい?」
私がだまってしまうと、又矢巾先輩は話を変えた。
頷いて矢巾先輩にクレープを差し出す。
「良いの?」
頷く。
矢巾先輩は女の子みたいに髪をおさえてこぼれないようにしてクレープをかじる。
その仕草が又キマってるもんだから見とれてしまう。