第35章 Holic Date.
慌てる私に更に矢巾先輩は笑みをこくした。
面白がられてる!
「楽しそう、に見えますが無理してないかなって」
私はプリンをそのまま食べるのを諦めスプーンで口に運ぶ事にした。
「無理?してないしてない、」
一一だって…………、
言葉の最後は喧騒に溶けて私には聞こえない。
薔薇の花嫁、だから?とか?
そう。
私はおもちゃ。
いつか捨てられるおもちゃ。
でもそんな私を見ているだけで幸せそうだ。
恥ずかしい。
「木原は無理してるの?」
コーヒーを飲みながら彼が云う。
「いえ、無理はしてません」
ただ会えば会うほど切なく苦しいくらい好きになる。
「ならいいけどさ」
まだ矢巾先輩は笑っている。
何が面白いのかな?