第35章 Holic Date.
「お待たせしました」
「待ってないから大丈夫」
嘘です。
連絡がきてから身支度をしたから待っているはず。
「ありがとうございます」
何となくお礼を云う。
さて、気が付いてくれるかな。
「さ、行こう」
手を握られる。
き、気が付いてない?
せっかく結んできたのに…。
手をひかれて私は仕方なく足を動かす。
「ねぇ」
私を隣へ引き寄せて満悦の笑顔で矢巾先輩。
「はい?」
私が返すと、優しく腕をとりながら彼が云う。
「いつも通り可愛いよ」
い、いつも、通り?
つまりいつも可愛いって思ってるって事なのかな?
んー、喜んでいいんだろうけど…。
「どうした?」
笑顔で矢巾先輩。
やっぱり何か苦手だ!
私はただ首を振って歩き出した。