第32章 ピタゴラTrip!
地面に降りて上を見ると京谷くんが今まさに窓を締めているところだった。
私はそれに手を振り歩き出す。
他のあて何か園芸部位しかない。
いつもお茶をする旧温室に向かうと一一、
何といたのである。
「みゅうくん、家出しちゃだめだよー」
彼女は猫をあやしていた。
あれは多分前にうちの学校で出産した野良猫の子供だ。
みゅうくんは寝床を逃げだしあやうく車にひかれかけ彼女が一番可愛がっていた子である。
みゅうくんは確か彼女の級友に引き取られたはずだ。
何故ここにいるのだろう一一多分又脱走したのだろう…………。
「みゅうくん、心配したんだよー?分かってる?」
彼女の言葉に猫はまーおと甘ったるい声を上げて足に巻きついている。
「いなくなっちゃったって聞いてもしかして、って来てみて良かった」
木原くんは猫を抱き上げ顔を寄せる。
猫もすんすんと鼻を鳴らしながら彼女にすり寄った。