第32章 ピタゴラTrip!
二人はゴロゴロ温室の中でたわむれ、一一しまいに木原さんは猫を抱いたまま眠ってしまう。
私はそれを見守り温室をきっちり閉め、いつもの様に彼女の隣に座る。
猫は動かなくなった彼女の腕の中から逃げ出し温室内を闊歩しだした。
私はそっと木原さんを眺める。
段々頭が傾いて私の肩によりかかってきた。
そんな重みさえ愛おしい。
温かな彼女の体がたまらなく愛おしい。
ずっと待っていた。
本当は木原にみつけてほしかったし又会いたかった。
「木原さん」
私の言葉にむにゃむにゃと何か呟く彼女。
今はまだ、安らかに。
まだ、まだ、こうしてゆっくりと過ぎる世界を謳歌してほしい。
いつかは一一。
「ありがとう、私を見つけてくれて」
私の言葉に猫が又まーおと鳴いた。