第26章 Amazing Date.
「じゃあ、アレ、一緒に見てくれる?」
及川先輩が指差したのは意外にも某有名なアメリカンアニメだった。
まあ、高校生、それも男子が一人で見れるような物じゃない。
キュートなデフォルメーションキャラがわちゃわちゃと動き回るヒロイックファンタジーだ。
「じゃあチケット買ってきます。及川先輩は何か飲み物お願いします」
私は及川先輩に止められる前に歩き出す。
夜の最後の回の時間も近いし一一おごるって云われそうだから。
でも一方的におごられたくなかったし。
チケットを二枚持って入場口の近くに行けば及川先輩がトレイを持って待っている。
もぎり役のスタッフさんに同行者だと告げ二人分チケットを渡して館内へ。
席は一番後ろの左端。
古いこのモールには入り口は右側にしかない。
だから左側を選ぶ人はあまりいない。
トイレに行きにくいからだ。