第26章 Amazing Date.
一瞬冷たさが手を滑り、すぐ温かくなった。
二人で手をつないで歩く。
少し離れて。
バスに乗って駅前へ。
「映画、見ようか」
黙って頷く。
「何見たい?」
及川先輩が聞いてくる。
色々やっているスリラー、ミステリ、アクション、ラブコメ。
「及川先輩の見たいものを」
今やってるミステリ物は原作も読んでるし気になったけど。
何か及川先輩とみたい気分にはなれない。
「え?君が見たいので良いよ?付き合わせてるんだし」
別に良いのにな。
「あなたの見たい物を一緒に見たいので」
云えば、一瞬にして及川先輩の頬が赤らんだ。
健康的な肌色に、運動による体温上昇以外でさす赤は何だか気恥ずかしい位、…艶美で。
「何でいつも君はそうかな?」
口を押さえて及川先輩は私から目を逸らす。
照れてて可愛いし。
ふふっと笑えば及川先輩は何だか照れくさそうに私の握った手を強く掴む。