第26章 Amazing Date.
でも花嫁の役目、と念じて歩き出す。
くっついているからあったかい。
体温は私に馴染んで心地良く感じる。
何かダメだな。
及川先輩と居ると何か、…もやもやする。
「どうしたの?さっきから顔くらいよ?」
気軽に聞いてくる及川先輩。
「何でもないです」
答えたら、フッと先輩が笑う。
「つむぎは嘘が下手で可愛い」
ムッ。
と、していると組んでいない方の手でツンと鼻の頭をつつかれた。
いちいちかっこいいし、ムカつくなぁ。
「やめて下さい」
手を押し返す。
「つむぎちゃん、気乗りしないのはわかるケドね。でも笑ってほしいな」
わかってるなら無理だってわかってください。
「無理、かぁ。思ったより君は岩ちゃんに義理立てしてるんだねぇ」
及川先輩が私から離れて腕を頭の後ろで組む。
さ、む。
寒い、だけ…。
ん、て手を差し出す。
それを取って優しく一一血を吸う時のガッツキ具合なんか嘘みたいに一一優しく、彼は私の手の甲に口付けて、握る。