第4章 選ばれた理由
「まだ活動してんの?」
頭を下げて謝辞を述べた私に松川先輩が不思議そうに云う。
「あは、まあ、私だけですが」
待ってろって云われたし、今は植物に触れたかった。
「ねぇねぇ、可憐ちゃんてどれ?」
花巻先輩が温室の中を振り見ながら云う。
私はひな壇状になったフラワースタンドの最上段に乗せた可憐ちゃんの鉢植えを指差した。
「あれの経根からこんにゃくができます」
私は花を咲かせる予定なのでこんにゃく芋は収穫しないが。
「へー。地味ぃ」
花巻先輩の答えに私は苦笑いした。
確かにこんにゃく芋なんて地味だし映えない。
でも可憐は私が小さな苗から育てた一本目の花だから。
「実がなったら食べさせてよ」
冗談かなと思ったが花巻先輩は本気っぽい目だ。
「花、こんにゃくの実が食えるわけ無いだろ?
」
松川先輩が助け舟を出してくれた。
反応に困っていた私は急いで頷く。
「それに実がなるのはまだ先です」
「そっか残念」
松川先輩が花巻先輩の頭をコツンとたたき、歩き出す。
私達もそれに続いた。