第4章 選ばれた理由
ある日の事だ。
いつも親猫といる子猫が一匹いなくなった。
さっきまではいたはずだからと私達は子猫を探した。
そして駐車場に止まった運動部の移動用バスの下に入っていくのを見つけた。
私は渋る運転手に掛け合いバスの下に入り子猫を連れ戻したのだ。
「いやぁ、あの時の君はまさに鬼子母神ばりの勢いだったよねぇ」
どんな勢いだ!
「で、パンツは丸だし、顔にすすつけて子猫を助けた姿は感動的だったよ?」
うわぁ、思い出すだけで黒歴史!
子猫が助かったのは嬉しいけど、大の女がパンツ丸だしって…。
「血ってね、その子の人となりによって味が変わるんだって」
つまり、子猫を助けるような私の血は美味いに違いないと思われたと。
うう、同クラの子にもらわれてった子猫の成長を
見るたび嬉しいけど、だからって血袋に選ばれたのは嬉しくないよぅ。
「そう泣くな。これで安心してルチィアーノが越冬できるんだぞ?」
新しい温室のため。
そう。新しい温室と部費のためだ。