第21章 限界ボーダーライン
不意に皺を寄せていた眉が下がる。
大きな猫目からぼた、と雫がこぼれて頬の曲線を伝う。
え?
えーーー!
な、な、な、泣いてます。
「オレだけじゃなかったのか」
え?
「お、おいかわさんはこんな顔してっけど、意地悪だし、子供っぽいし、でもスゲェバレー上手くてほんっと、勝てないし、女にモテるし……」
うわーん、と声を上げて泣き出してしまった影山くんに私は思わず駆け寄ってよしよしと抱きしめて背をさする。
「そうですね。及川先輩はめっちゃカッコいいですね」
うんうん、て頷くトビオちゃん。
ああもうっ!結局及川先輩好きなんだからっ。
可愛いなぁもぅ。
「でも影山くんもカッコいいですよ。背も高いしほら、見て下さい、こんなに手だって大きい」
トビオちゃんの手をとって私の手を重ねる。
ゆうに関節一つ分は長い指に、私なんか握りつぶされそうな平。