第21章 限界ボーダーライン
ぶしっという音に顔を向ければ渡先輩の両手の中で無残に誰かが置いていった古いボールがひしゃげてくしゃくしゃになっていく。
矢巾先輩はバンバンロッカーを叩くから戸がどんどん中へめり込んでいく。
及川先輩は笑っていたけど……録音するからと握っていたスマホがミキミキと軋んでいる。
国見くんはもう何やら落ち切ってしまったとばかりに床にうずくまっているし金田一くんがそれをあやしている。
金田一くんまじ天使。
かきくのか、影山くんは立ち尽くしていた。
某葬花の鬼様の如く深く眉間に皺を寄せ。
「つむぎ……」
唐突にそのトビオちゃんが私に歩み寄る。
ひぃ!怖い。
鬼様より怖いんじゃないかな?顔だけなら……。