第4章 選ばれた理由
『又終わったら来てねー!』と云われながらふらふら私は温室ヘ戻ってきた。
「よっ、お帰り新妻!」
石和部長は数えていた球根を置き振り向く。
新妻…冗談でもきついよ。
「休むかい?お茶入れるよ」
部長は温室の隅にきれいなブルーシートを敷く。
給湯器で湯を沸かし持ち込みのティーバッグでお茶を入れる。
「ほい、饅頭でも食べなよ」
どこから手に入れてきたのか饅頭を差し出してくる部長とシートに並んで座る。
お饅頭をかじれば甘いあんの味が口中に広がり、何か…しみた。
「なぁに泣いてんだぁ。そんなに痛かった?」
どうやら私は泣いているらしい。
「いひゃくありまへぇん」
お饅頭をもぐもぐ、お茶を一口。
「でも、私たえられるか…」
私の答えに部長は弾けたように笑いだした。