第16章 トワイライトカノン
「おいっ!」
及川先輩が私からひっぺがされる。
「もー、岩ちゃん空気読んでよー!」
ぶーぶー、と口に出して及川先輩。
岩泉先輩が及川先輩のえり首を掴んでいる。
「木原、こいつの好きにさせるな」
岩泉先輩がプリプリ怒って云う。
「もしかして『じぇらしぃ』、ですかぁ?」
私がえりを直しながら云うと岩泉先輩がこちらを向いた。
「そうだ。俺以外に好きにさせんな」
ぺっと及川先輩を後方に放り岩泉先輩は私にかがみこみ首筋を噛んだ。
及川先輩の反対側を。
「あ、はぁ、んっン」
やっぱり噛まれるとくらくらして気持ちイイ…。
ぎゅっと強く抱きしめられて、牙を抜きながら強く唇と普通の歯が肌を吸う。
「ひゃうっ」
ちょ、痛いよぅ!
「ふんっ」
岩泉先輩は満足した、というように私を離す。
「及川行くぞ」
「岩ちゃん大人げないー」
二人は楽しそうだ。