第16章 トワイライトカノン
「あーと!ついてるぞっ、よっ、愛されてるねっ」
ツン、と後ろから首筋を指さされ振り向けば部長がいる。
「石和部長…おはようございます」
取り敢えずあいさつする。
しながらポケットから手鏡を出して首を確認した。
首には赤を中心に紫のあおにができている。
取り敢えず一日では消えそうもない。
もう、これえりから見えちゃうよ、岩泉先輩のえっち!
一一こんなの、岩泉先輩のモノって証みたいで恥ずかしいな…。
な、んてネ…そんなワケないのにな。
私は薔薇の花嫁だからっ。
さって、水やりしたら堆肥を混ぜてちょっとだけこっそりバレー部を覗きに行こう。
バレーはそんなに詳しくないけど、でも見ているだけで元気になれるから。
私が植物を愛するように球技を愛し切磋琢磨する大切な人達。
見ているだけで焦がれてしまう。
一一大好き。
「よしよし、今日も一日頑張ろうな」
虫除けの竹酢を温室のまわりにまきながら石和部長が云う。
私も頷いてジョロを持った。