第16章 トワイライトカノン
「それにお化粧してる?」
軽く細めにラインを引きマスカラ、顔に軽く粉をはたいたくらいだが。
「甘い、女の子の匂いだね」
すんっと私の首筋あたりの匂いをかいで及川先輩。
「あ、んっ」
そのまま熱い舌がペロリと首を舐め、牙が私の肌を食い破った。
ちるちると牙が血を吸う。
「可愛いよ、花嫁さん」
抱かれた腕の中で震えていると及川先輩が云う。
「もっと、好きになってください」
震える唇で云う。
「好きだよ、大好きさ」
一一今までの花嫁の中で一番ね。
及川先輩の言葉に嬉しくてたまらない。
「好きなだけっ、はぁ、私の血を飲んでください…」
私にできることなら何でもしたい。
「もー、ツンドラからのデレデレとか可愛すぎるよー!」
牙を引き抜いてからも及川先輩はぎゅっと私を抱いてくれて。
あったかくて嬉しい。