第12章 邪視一イービルアイ一
「松ばっか木原ちゃんと仲良くしてズルい!」
花巻先輩が私を抱きしめる。
あったかい。
ほわわん。
「木原ちゃん、松はダメだかんね?!」
顔近いって!
「は、はい?!」
この二人ってほんと仲良しなんだな。
「松川さん、花巻さん、及川さんが早く来るように呼んでますよ」
二人にもみくちゃにされていた私を救ってくれたのは国見くんだ。
国見くんがやって来て二人を引き離してくれた。
「あ、ありがと」
私が云うと、国見くんは私をジッと視た。
で…、
ぎゅって抱きしめられた。
「松川さん達ばっかズルい」
何で…そんな切なそうな声で云うんだよぉ!
ドキドキした。
「じゃ、又昼ね」
国見くんはアッサリ私を離して三人で歩きだした。
「見ちゃったぞぉ、この色女っ、聖女サマが男たらしこんでいけないんだぁっ」
「石和部長!やめてください!」
私はホースから再び水を出し花への水やりを開始した。
その間、石和部長は散々私をはやし立てる。
違うんだから!
みんな私が血袋だから良くしてくれるだけなんだから!
それだけ…なんだから。