第2章 薔薇の花嫁
「怖いの?」
国見くんが口を開く。
首を横に振る。
怖くはない、ワケではない、けど。
ビビって泣いたとは思われたくないし、部費のためだ。
「怖くないよ」
ぐいっとアゴをつかまれ上を向かされる。
指が確かめるみたいに頬を撫でた。
「国見、それ余計怖いだろ」
冷静に松川先輩が云う。
その隣で花巻先輩が違いない、と笑う。
「やっぱり怖いんだ?」
国見くんが云う。
「怖くありません!」
手でぐっと涙を拭う。
やるって云ったんだから、ちゃんとやらなきゃだめだ。
「じゃあ腕かして」
国見くんに腕を差し出す。
私のアゴをつかんでいた手が手首にうつる。
スルッと指が手に巻き付いて。
「ほら、金田一も」
もう片腕を金田一くんににぎらせる。