第10章 リトルディト
「何か寄るとこある?」
及川先輩と並んで歩くとか我ながら気持ち悪い。
ファンの子とかに見られないといいな…。
「コンビニ寄りたいです。喉乾いたんで」
最近空気が乾燥してきたのか、何か気管がかさつくんだよな。
「よし、及川さんがおごったげる」
「結構です」
そんな無駄口をたたきながらせかせか歩き家の近くのコンビニに入る。
「あっ!」
珍しく及川先輩が驚いている。
いつも冷静っぽいこの人には珍しいな。
その視線の先には黒い詰め襟姿の男の子。
誰だろ。知り合い?
「あ、知り合いの方ですか?じゃあ私しつれいしm」
「つむぎちゃん逃げないで」
腰を抱かれてずるずるその子のまえに引きずっていかれる。
「あ、及川さん…どもす」
「飛雄ちゃん、おひさー」
わたしかえっていいですか?
なんか雰囲気が悪いんですが。
「中学の時の後輩」
小さい声で及川さんが説明してくれる。