第10章 見えないライバル
「いやいやそんなわけっ…そんなわけは…」
「あれぇもしかして…」
いきなり言われてパニックになる凪咲を見て楽しむ華楓。言葉を返すのに戸惑う凪咲。
「だからそんなこと…」
「へぇ小野坂さん王様好きなんだ」
凪咲を見て楽しんでいたのは月島も同じだった。
「月島!?」
「小野坂さんそれホント?」
「山口まで…」
話に食いついてきた月島と山口にまで言われてパニックと恥ずかしさで凪咲は華楓の後ろに隠れてしまった。
「はははっ…凪咲ほんと面白いわ」
「からかうのも程々にしてよ…」
相変わらず楽しんでいる華楓に月島は現実見させる。
「ライブはしょうがないけど勉強真面目にやってよね」
それに対し華楓は堂々と言い張る。
「なんてこないさ!雪宮さんの本気はすごいんだから!!」
「はぁ…」
いつもの華楓に戻ったと確信した凪咲は少しがっかりしていた。月島もそれは同様で
「これで赤点取ったら教えてる身としてがっかりするから」
「華楓ちゃん頑張ってね!」
月島と山口は華楓に一言声をかけて自席に戻った。
「ほら、早く食べて教室帰りなよ」
凪咲に言われて食べ終わっていないことに気づいた華楓は口の中に無理やり押し込みクラスに戻った。
「…やればできるじゃん」
「まあね」
朝練前。解答を月島に見せていた日向と影山、そして華楓。月島は華楓の合っている数ではなく間違えの少なさに関心していた。
「だったら普段から真面目にやってよね」
「…さっせん」
仕方なく謝る華楓。そしてフォローするかのように山口が言った。
「そうだよ、金曜日ライブあるんでしょ?その分真面目にやらないと…」
「ライブ?」
数少ない頭の中の隙間をはてなで埋め尽くした日向。
「あ、今週なんだスピル・ミックスのライブ…」
「おぉ華楓頑張れよ!」
「西谷手動かして」
菅原と西谷はライブを知っていた。その西谷は問題を解いている最中で縁下に怒られていた。
「…スピル・ミックスって何ですか?」
「ほんと日向は小さな巨人以外興味無いよな…」
菅原は微笑しながら言った。