第5章 仲良し(?)3人組
その時大きな音が響いた。ドアが開いた音だった。
「たぁだぁいまぁ~」
バタリとリビングに入ってきた途端に女は倒れた。彼女が華楓の姉、雪宮香奏だ。
「ちょっとここで寝るなし姉貴!」
「香奏姉!華楓が困ってる!」
「…はっ!華楓~徹~」
どうやら酒に酔ってるらしく、華楓と及川を抱きしめて離そうとしない。
「ちょっと酒臭い!離してよ香奏」
「姉様離してください」
「…えっと…」
何していいかわからない岩泉は棒立ちでただ2人を見ているだけだった。
「あのさ、見てないで助けてよ!」
その姿に気づいた華楓は即座に助けを求めた。
「あ、おう…」
「ああああ…もう…この野郎!!!」
そう言った岩泉が水を取りに行った直後、香奏が大声を上げた。
「え!?」
「香奏姉!?」
「…もしかして…彼氏と喧嘩?」
「そう!あいつめ絶対許さねぇぞ!!!」
「やけ酒ってやつか…」
「なるほど…」
「はぁ…」
悩んだ末華楓は
「…ごめん徹、岩ちゃん帰ってもらってもいい?香奏暴走したら多分止まらない…」
「おっOK」
「分かった」
「ごめんねなんか…」
華楓に言われた通りに及川と岩泉は静かに雪宮家を後にした。
信号を待っている間に及川は岩泉に話しかけた。
「明日部活一緒に帰れない」
…多分さっきの話のことなんだろうな…
「…伊達工…」
「岩ちゃん?」
「行くんだろ?」
「ハハッ流石俺の岩ちゃん☆」
「俺がお前のものになるのは死んでも嫌だ」
「酷い!」
信号が青に変わった。
「あ、青。岩ちゃん行こ!」
岩泉は前を歩く及川に
「華楓が後で辛くなるようなことにはするんじゃねぇぞ?」
岩泉の言葉を聞いた及川は立ち止まった。
「岩ちゃんほんと面白いね!…そのために行くんじゃん…華楓を守るのが俺の役目だから…」
大事にしなきゃいいんだが…まあ大丈夫だろう…
少しばかし心配になった岩泉だった。