第1章 再会
昼休み。1人自席で片手にサンドイッチを頬張る華楓。
「華楓〜!あ、いたいた」
華楓の友達の凪咲が華楓のクラスである1年3組の扉ごしに廊下から華楓に声をかけた。
それに反応し華楓は手を振った。
「相変わらず1人で食べてんの?周りも華楓に声かけようとしないんだね。そろそろ仲良くしなよ。あ、一個貰う」
「余計なお世話。関わると色々面倒だし。どーせあちらもあたしのこと妬んでんじゃないの?」
華楓は紙パックのジュースを片手に言った。
あたしは中学3年の時から芸能活動をしてるんだ。最初は女優としてやっていたんだけどドラマ内で歌を歌ったのが評価されるようになって丁度一年前くらいから歌手としてもやってる。だから妬むやつも多いんだよね。
「バレーやめてから本当に女子と関わろうとしないよね。」
「別にいいでしょそんなのあたしの勝手。友達なんて凪咲だけで十分」
凪咲はあたしと中学時代バレーボール部で一緒だったチームメイト。だからあたしにとって1番と言ってもいいぐらいの仲。今も女子バレー部としてバレーボールをしているバレーボールが大好きな子。ちなみにあたしは高校からは訳あってバレーボールをやるのをやめて、男子バレー部のマネージャーをしている。
「嬉しいけど…あれ、影山くんは?」
「多分…ぐんぐん牛乳買いに行ったんじゃん?何で?」
「いや…廊下で見かけた時何かいつもと違うなって思ったから…」
「そりゃインターハイ予選で負けたのに上機嫌というか何も思ってなかったらむしろおかしいっての(笑)」
インターハイ予選で青城に負けてまだ数日。日向や影山はまだ通常運転どころかまだ心残りがある。まぁ悔しいのは当たり前だよね。自分もこの間まで選手としてバレーに関わってたから良くわかる。
華楓は凪咲の言葉に思わず笑って返した。
「そっか負けたんだよね…でも華楓は機嫌いいね。いいことあった?」
「あ、まぁ…あいつに会えたんだ」
そういうと華楓はスクバに付いてるストラップを凪咲に見せた。
「あーあれか。小学校の時引っ越す前に近所の男子に貰ったっていう。えっと…名前なんだっけ?」
「…二口堅治。」