第1章 平凡の中で
~緑SIDE~
「おはようございまーす!」
今日も、元気な声が玄関から聞こえてくる。
私は、もう一度台所へ向かい、朝ごはんの用意をし始めた。
「あ、緑さん、おはようございます。」
「おはよう新八。」
台所をのぞいた新八が、私に挨拶をした。
そのあと、リビングへ向かい、神楽と銀時を起こしにいく。
あ、今、新八の叫び声が聞こえてきた。…神楽ね。
そんなことを思いながら、私は味噌汁を四人分、つぎはじめる。
今日も、万事屋は平凡だ。
平凡で、平和。
もうすっかり紅葉も落ち、一昨日はついに江戸も初雪を迎えた。
そんなに積もるほどでもなかったので、雪遊びなんかはできなかったけれど。神楽が文句を言ってたなあ…。
あの事件から、もうすでに三カ月は経とうとしていた。
相変わらず、この万事屋は、あのクソ天パのせいでお金がないけれど、笑顔で過ごせているのは、少なからずともみんなのおかげだ。
そう、実はちょっと、変わったこともあるのだ。
「はよーっす。」
台所の入り口から、けだるそうな声が聞こえてきた。
「…おはよう、銀時。」
「おー…。」
まだ寝ぼけているのか、ポケーッっとしている。
「顔洗って、歯磨きしなさいよ。髪の毛も、爆発してるし。」
「あ?この髪は自然体なんですう~。生まれつきの天然パーマネントなんですう~。」
「別に、天パのことじゃなくて、ほんとに爆発してるから教えてあげただけだし。」
「あ、ほんとだ。」
……なんて朝からくだらない会話をしているんだろう。
本当にこいつは、馬鹿なのか、なんなのか…。
「みーちゃんおはようアル!!」
銀時の後ろからひょこっと神楽が顔をだしてきた。
「おはよう神楽。」
「お前何俺からすぐに離れてんの?地味に傷つくんですけど。」
神楽はすぐに私の腕をつかんできた。