第20章 【外伝 及川の企み】
「笑えるくれえ色々頑固なのは確かだがな。」
「岩ちゃんたらもー、もっとストレートに褒めてあげなよ。そんなんだから女の子にもてないんだよ、せっかくのポテンシャルなのにさー。」
「とりあえず意味わかんねえ事ぬかすその口縫い付けていいか。」
「ひどっ。」
及川はジャージを羽織りながらふと、今のやりとり美沙ちゃんなら何て言うかなと思った。あの子の事だから北欧神話かって突っ込みそうだなと考えてふと笑ってしまう。
「また何1人でにやけてるんだ、気持ち悪ぃ。」
「ちょっと岩ちゃん、こんなクールビューティーに対して印象操作やめてよねっ。それより美沙ちゃんて他に何が好きそうかなぁ、ケーキ食べると思う。」
「俺が知るかっ。本人に聞け本人にっ。」
ああそっかあと及川はトボけて岩泉にどつかれる。そうして2人は部室を出て体育館に向かった。
「あれ。」
その頃烏野高校の視聴覚室では縁下美沙がキーボードを打つ手を止めて一瞬身震いしていた。
「何やろ、悪寒が。」
パソコン部の1人が風邪かと聞き、別の誰かがもしやお兄さんの襲来とか、などと抜かす。
「いやあの兄さんは絶賛部活中やから、ちゅうかうちの兄さんを何やとっ。」
突っ込む美沙にパソコン部の奴らはワハハと笑っていた。
次章に続く