第20章 【外伝 及川の企み】
「いいもんねだ、俺は勝手にするもんね。」
「前から女絡みでは勝手にしてるだろ、あとその面やめろあの半分ボケよりガキくせえってのはどういうこった。」
「今度はどうしようかなぁ、アイスは前に食べたしなぁ。あの子パフェとか好きかなー。」
「シカトしてんじゃねえっ、クソ川っ。」
「おい松川よ、あの馬鹿主将ままコと放課後デートする気だぞ。」
花巻に言われて松川は及川ーと声をかける。
「無理じゃないの、美沙さんのバックにゃあのお兄ちゃんがいるだろ。」
「勿論縁下君にはちゃんと連絡入れるって、でないと俺殺されちゃう。」
「むしろ連絡いれた瞬間に殺されるんじゃない。」
「美沙ちゃんつれてってから事後報告に決まってんじゃん。」
「悪い顔だっ。」
「金田一落ち着けよいつもだろ。大体及川さんは何でまだあの嫁に執着してるんです。」
国見に指摘され及川はんー、と曖昧な笑みを浮かべた。
「執着ってえよりさ、甘えちゃえるうちに甘えちゃう感じ。」
「だからそれは何故。」
「国見、その辺にしといてやってくれ。」
流石に何かを感じたらしき岩泉が言って国見は大人しく引っ込む。
「ほれほれお前ら、クソ川弄りはこの辺にしてとっとと行け。残りは後のお楽しみだ。」
「後でなら弄っていい訳っ。」
「弄られキャラじゃねえつもりだったのか天然の自覚ないどっかの妹並みにタチわりぃな。」
「ますますひどい表現っ。」
ぶーぶー言う及川を他所に他の連中は着替え終わった奴からゾロゾロと出て行く。やがて部室の中は幼馴染み2人だけになった。
「ありがと、岩ちゃん。」
及川はにっと笑い岩泉は別にと呟く。
「別にあの6番の妹を泣かす真似してる訳じゃなさそーだから好きにしろとは思うけどよ、いつになったら気が済むんだ。」
「本当に甘える訳にいかなくなった時かな。」
「他にごまんと見た目も中身もいい奴がいるってーのに物好き野郎が。」
「あの子はいい意味で普通じゃないから。」
微笑んで言う及川に岩泉はケッと呟いた。