第19章 【フラグ回収】
「いいよ、元々本人行く気満々だったし。その代わり」
パソコン部の奴は無駄に姿勢を正した。
「虐(いじ)めたりとかしたらマジで覚悟してくれよ。」
この時力は笑いながらも無意識に威圧していてパソコン部の奴は顔が青くなった。そんな滅相も無いとやり過ぎなくらい首を横に振る。丁重にお迎えしますからとか何とか訳のわからない事を口走り始めた。
「いやそこまでって事じゃないんだけど。それよりうちの子は関西弁だけど大丈夫。」
横で成田がうちの子ってお前なと呟いているが力は聞かなかった振りをする。パソコン部としては何の問題もないらしい。むしろ方言萌えもいるなどと言われて力は軽く寒気がした。本当に大丈夫なのか。いずれにせよ最終的に力の許可を得たパソコン部の奴はありがとうございますっと礼を言ってかなりルンルンな様子で去って行った。
「旭さんが言った通りになっちゃったな。いいのか、縁下。」
成田が言った。
「いいよ、本当に何かあったら考える。わざわざこっちまで来といて変な事はしないだろ。それより田中と西谷は俺の事どんな風に言ったんだ。怯えられてちっとショック。」
「怯えられたのはお前が悪いと思うよ。田中と西谷はまんま言ったんじゃないか、縁下の妹誘うなら先に兄貴に声かけた方がいいって。」
「俺は何だ、おっかない親父さんかなんかか。」
「あのさ縁下、この教室で今の話聞こえてた奴のほとんどが似たようなもんだと思ってるよ。」
成田はため息をついた。
その後、1-5の教室では
「ふぎゃああああああああっ。」
お兄さんの許可取ってきましたとやってきたパソコン部の野郎に手を握られた縁下美沙が叫んでいた。1-5の連中は何だ、また縁下かなどといつも通り好き勝手言っている。中でも彼らの関心を引いたのはあの縁下美沙がふぎゃあと叫んだ事である。一番災難なのは谷地だ。隣の半分ボケのせいでむくつけき野郎が押しかけしかも当の半分ボケが叫ぶときている。おかげで谷地はどこかの映画のごとく総毛立っていた。更にそれだけではおさまらず1-5のドアがガラッと開いた。
「おい(ちょっと)ままコ(ままコさん)うるせえっ(うるさいんだけどっ)」
「ちょっと王様、被んないでくれる。」
「ああっ、被ったのはてめーだろっ。」