第19章 【フラグ回収】
さて、縁下美沙がパソコン部に勧誘された話はまだ少し続く。
義妹の美沙が野郎しかいないパソコン部に勧誘された事に難色を示している義兄の力だがその日の昼休み、2-4にパソコン部の奴がやってきた。昨日旭さんのアレはフラグだったんだと力は思う。しかもフラグ折るどころかバッチリ回収してるじゃないか木下辺りが聞いたら何て言うだろう。
そのパソコン部の奴はまず教室に入ってきて開口一番縁下美沙さんのお兄さんはいますかときた。
「えと、美沙の兄貴は俺だけど何かな。」
するとそいつはガバッと頭を下げてくる。妹さんを是非うちの部にっと言うのである。
「いやいやいやちょっと待ってっ。」
力は激しく動揺した。周りで見ていた2-4の連中がクスクス笑っている。心配したのか近くによってきていた成田も吹き出し肩が震えていた。これはひどい。
「何で俺、なのかな。」
自分が渋ってるくせにと思いつつも力は尋ねる。すると相手は言うに事欠いてお兄さんの許可が要ると聞いたのでと言い出す。力は思わずええっと叫ぶ。
「まさかうちの美沙本人が言ったんじゃあ」
呟く力に相手は首を横に振った。お兄さんと同じ部活の方に聞きましたと言う。力は思わず成田に目をやり成田はブンブンと首を横に降った。冗談じゃないといった様子だ。よくよく聞くと人はいいけど目つきの悪い坊主頭とやかましいツンツン頭の人だと言う。たちまちのうちに力の顔から表情が無くなる。
「あいつら後でとっちめる。」
「縁下落ち着け、パソコン部の人ビビってるから。」
成田に言われて力は何とか平静を取り戻した。
「えーと、」
困ってしまった力は呟く。
「ちょっと頭整理させて。」
相手はわかりましたと静かに待機する。縁下力は高速で状況を考えた。美沙の希望、昨日本人から聞いた見学の結果、自分の心配事、一方で美沙が男子排球部関係以外での付き合いがあまりに少ない事など色々擦り合わせてみる。結局あまり考えても仕方がない気がした。故にこう言った。