第2章 【どさくさ】
「ふぎゃあああああああああああああっ。」
狭い部室に妙な叫びがこだまする。
「わーっ、美沙さん落ち着いてーっ。」
「美沙っ、おち、おちけつっおちつけっ。」
「てめえも落ち着けてねーだろが日向ボゲェッ。」
「何動揺してんの、ままコさんの場合今更じゃん。」
「ツッキー、清水先輩に言われちゃそりゃびっくりするってっ。」
「う、あ。」
「どわぁぁぁっ縁下しっかりしろっ。成田っ、縁下がやべぇっ。」
「気付け薬なんてここにはないぞ。」
「そーゆー問題か成田ゴルァっ。」
「龍っ、それよりアレだっ、救急車っ。」
「むやみやたら呼ぶもんじゃないよ、西谷。」
「旭っ、お前までボケてどーするっ。」
「ああもうとりあえずお前ら落ち着けーっ、特に縁下兄妹っ。」
菅原が一声あげるが少し遅かった。隣を使っている部からバレー部うるせぇっと即刻苦情が入った。
そうして一同は一旦落ち着き、揃って名指しされた力と美沙は同時にうぐぐとなっていた。
「くそ、他所の部から注意された。」
「大地、気を落とさずに。」
「ったくお前ら兄妹さぁ、面白いのはいいけど程度があるだろ。」
「ちょお待ってっ、言うてはる事が何かおかしい件っ。」
「菅原さん、面白いとかおちょくらないでくださいっ。」
「はいはい、叫ばない叫ばない。」
「えと、いずれにせよ私のせいでホンマすみません。」
やらかした元凶である縁下美沙はショボンとなる。力は自分も本当に申し訳ないと謝罪し、主将である澤村はうーむと唸る。そこへ美沙は言った。
「その、とりあえず私をこちらに出入り禁止にしといたってください。」
「美沙、お前。」
「おいおい、俺はまだ」
「もともと私が無理言うて置いてもらっとるんが悪いし澤村さんの立場上何の対応もしてへんって訳にいかんでしょ。」
「あ、ああ。」
「いいんじゃありませんか、ままコさんが自ら言ってるんだし実際部外者入れるの本来なら良くないし。」
月島も言いだし澤村は決断した。