第16章 【赤面ノシタ】
「なかなか来ないと思ってたら何遊んでるんだ。」
流石にうっかり答える阿呆はいなかった。部室内の多くはもちろん澤村と一緒に来ていた東峰もブルブル震えている。僅かな間だったがそれは大変長く感じるものだった。
「まあ今はいい、とにかく早く来いよ。」
落ち着きを取り戻す澤村に一同はホッとしてバタバタと体育館へ向かう。しかし力はコソッと耳打ちされた。
「縁下、」
「は、はいっ。」
「美沙さんにあんまり慌てないよう伝えてくれ、スマホケースにつけてるキーホルダー引っ掛けてちっと暴れてたからな。」
あのふぎゃあああっはそれだったのかと力は顔を真っ赤にし、後ろで成田と木下がププッと笑っている。もし月刊バリボー!!に載るあの彼が聞いたらまた美沙ちゃんの萌えポイント発見とか訳のわからないことを言いそうだと思い、力は思わず身震いした。
次章に続く