第16章 【赤面ノシタ】
「くそがあああっ、マジでどーでもいい情報載せやがってっ。なあ龍っ。」
「おうよ、つかどーせネタ載せるなら徹底しやがれってんだっ。」
「例えばっ。」
「あれだ、ノヤっさん。」
「どれだよ。」
なおもうるさい田中達に力はまたも冷たく言い放つ。どうせろくな事ではないだろう。そして実際田中龍之介はやらかした。
「決まってんだろ、この優男の好みのタイプ。」
「つまりどういう事。」
「そらおめえ、スマホオタの関西弁で女子っぽくねえペッタ」
田中は最後まで言わせてもらえなかった。次の瞬間田中は力に無表情で締め上げられる。
「ぎゃああっ、縁下待て話せばわかるっ。」
「力っ、やめてやってくれっ。」
「つまり田中、誰の事だ。」
「つまりおめえの妹、ってうぎゃあああああっ。」
「うちの美沙を好き勝手言って、いい度胸してるな田中。」
「俺が悪かったああああああっ。」
叫ぶ田中、たちまちのうちに木下と成田も割って入る。
「縁下待て田中昇天しちまうぞっ。」
「そんなんだから烏養さんにまで妹絡むと挙動不審とか言われるんだよっ。」
木下が慌て成田も叫び、しかし力は止まらない。なお悪い事に
「美沙が月バリに載るんですか。」
このタイミングで日向がど天然を発揮する。
「ままコはバレーボールやらねえぞ、何かネタあんのか。」
「美沙さんはむしろパソコンとかスマホの雑誌に載ってそう。」
「ままコさんクラスならいくらでもいるデショ、本人が一番わかってるみたいだけど。まあでも割と上に位置するかな。」
「ツッキーもさりげに認めてるんだね。」
「山口うるさい。」
「とゆーか誰か縁下止めるの手伝ってくれよっおい目えそらすなっ」
助力を求めたのに1年達に目をそらされて叫ぶ木下、わあわあする事しばし。
「何やってんのお前ら。」
部室のドアががちゃりと開いた。なかなか来ない後輩達を心配した菅原だ。また他の部からクレーム来るだろと呟きながらも菅原はざっと部室内を見回し状況を把握したようだった。
「田中、今度は美沙ちゃんの事で何言ったんだよ。」
「速攻俺っすかっ。」
「縁下が締めてたってことは他にないじゃん。」
「それで判断される縁下さんもどうなんですかねえ。」
月島が呆れたようにつぶやいて眼鏡を押し上げる。