第14章 【電脳少女、偵察に行く その4】
「義理の妹にプレゼントまでするなんて相当じゃん。あと若利君がそれで妹縛ってるって察した事にオドロキ。」
「俺は鈍感だと言いたいのか。」
「天然に天然言われた若利君だからねー。」
牛島がややイラっとした様子を見せた所で大平が割って入る。
「もうやめなさいって。というか聞いちゃいけない事を聞いた気がする。他所んちの話も程々にな。」
言って大平は離脱した。
「ま、気にいるいらないはともかくさ、」
天童は懲りもせず切り込む。
「若利君的にはままコちゃんてどーなの。」
牛島は一瞬目を伏せた。
「奇妙だが悪い奴ではない、とは思う。」
「へえ。」
「自分は怪我をしてでも友人を守ろうとするのを当たり前だと言うくらいだ、悪人ではあるまい。」
「あーんなヒョロヒョロなのに。」
「初めて会った時は怪我をしていた。どうしたのか聞いたら友人を絡んできた奴から庇った結果だと。」
「ああ、だからその後怪我してないか聞いたのネ。」
天童はますます楽しそうに言った。
「熱い奴なんですね、見た目によらず。」
五色が呟く。
「だからこそ兄は気にするのだろう。」
牛島は五色を否定しなかった。
「だが2人共危うすぎる。事情で別れざるを得なくなったらどうするのか。」
「そこまで気にする若利君がレアすぎてそれこそ動画で撮りたいよ。」
天童がおどけて言った。
話はまだ終わらない、驚く事に牛島達がひとしきり話し終わった後2年のセッター白布賢二郎が五色に声をかけていた。
「お前ら何わいわいやってたの、牛島さんまで珍しすぎだろ。」
「烏野の電脳女についてです。」
「は。」
白布は何言ってんだこいつといった目で五色を見つめる。
「エンなんとか美沙って奴で前は違う名前で義理のにーちゃんがいてそのにーちゃんは烏野の次期主将らしくって関西弁で電脳少女とか書いてるシャツ着た変だけど熱いらしい女です。」
「つまり他校がまた入り込んでたのか。」
「牛島さんの知り合いだって。微妙に親しそうでした、主に向こうが。」
白布はふーんとだけ言いしかしふと視線を上にやる。
「どうかしたんですか。」
尋ねる五色にしかし白布は答えない。