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【ハイキュー】エンノシタイモウト第三部

第14章 【電脳少女、偵察に行く その4】


「そんな事言いつつ相手してたじゃん。」
「向こうが話すから相手をしただけだ。」
「あーはいはい。因みにままコちゃんとはどこで会ったの。」
「道で。腕輪を落としたので拾ってやった。流れで少しだけ話した、それだけだ。奇妙な事ばかり言うので困惑した。」
「へー、つまり話す程度には気に入ったのネ。」
「俺は気に入ってなどいない。気に入ってるのは及川だ。」
「青城の。へー、いっがーい。」
「少なくとも路上でセクハラに及ぶ程度には。」
「何それ。」
「後ろから抱きついて嫌がられていた。」

天童はブブブと吹き出す。

「漂う残念臭。」
「兄以外が抱きつくのは禁止だとも言われていた。」
「それも何か基準おかしーな、おにーちゃんならいい訳。」
「動画投稿者だといきなり名乗る奴の基準などわからん。」
「ごもっとも。」

天童はへらっとする。ここであの、と後ろでこっそり話を聞いていた五色が口を挟む。

「あいつどんな動画作ってるんすか。」
「知らん。今度本人に聞け。」
「その頃には工の方が確実に忘れてるよネ。」
「あるいは及川か。」
「あの人がわかるんですか。」
「聞いた限りでは把握している風だった。」

天童が吹き出す。これで何度目なのか。

「大分変わってるな。」

いつの間にやら大平も話に参加した。

「そもそもあのエンノシタとやらは兄妹揃って奇妙だ。」

牛島は呟き、大平は首を傾げて無言で先を促す。

「お互い依存している。」
「そんなに。」
「片方がいなくなったらどうするつもりなのかと思う程度には。」

それを聞いた大平は顔が青くなり五色はマジですかと驚き、天童はへーとやはりニヤニヤしている。

「何、死ぬ時も一緒的なノリ。」

尋ねる天童に牛島は頷く。

「そう思っても差し支えはない。兄は妹が早々自分から離れないのをわかっているのに過保護だ。妹は兄の過保護をわかっていながらされるがままときている。それどころかしばらく見ないうちに更に縛られて、どういうつもりだ。」

牛島の語気は最後の一文あたりでほんの少し荒くなっていた。

「何の話。」

イライラした様子を感じ取った天童が怪訝そうに尋ねた。

「指輪。」
「は。」
「前にあった時はつけていなかった。腕輪と同じようにあの兄が与えたのだろう。」

天童は目を見開き五色は首をかしげ大平は首を左右に振った。
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