第1章 【3度目の始まり】
そういう訳で澤村大地、菅原孝支、東峰旭の3年達が男子排球部の部室に入ると静かに怒りながら仁王立ちしている縁下力及びその前で正座させられている2年生4人を目撃する事になる。
「だ、大地、えええ縁下が何か怒ってるるる。」
「落ち着けこのヒゲチョコ、しかし一体何事だ。」
「田中と西谷はわかるけどさ、木下と成田も一緒だもんな。」
その間にも縁下力はくどくどと2年仲間4人に説教をしていた。
「まったくもう、ホント木下と成田まで勘弁してくれよな。」
しばらくして力はそう言ってお説教を終了した。
「あと成田、」
「う、うん。」
「そのテキスト寄越して。」
「えっ、いるのか。」
「せっかくだから。」
「あ、ああ。メッセージアプリで送ろうか。」
「あのアプリはスマホからだと画像と動画と音声くらいしか送れないから赤外線かな。」
「よくそんなこと知ってるな、オッケー。」
力はそうして成田から問題のテキストファイルを受け取った。
そんなやりとりが終了してから2年生達は他から何があったのか聞かれた。
「一体お前ら何やったの。木下と成田まで縁下に怒られるなんて。」
尋ねる菅原に縁下力はため息をつき、木下はそれがそのと呟き、田中と西谷はごまかし笑いをし、成田は自分のスマホの画面を見せる。途端に菅原はぶっと吹いた。
「お前ら、何やってんの。」
「つい悪ノリしちゃって。」
「しかも無駄にそれっぽく出来てんじゃん。」
菅原は画面をスクロールさせながらテキストを読む。
「うん、」
菅原は呟いた。
「縁下が美沙ちゃん溺愛してるのを抜かしてないとこが高ポイント。」
「菅原さんっ。」
聞きつけた力は思わず声を上げたが菅原はニヤニヤしながらえー、と言う。
「だってそこ抜かしちゃ駄目だろー。」
「それよりうちの美沙で遊んでる点について言ってやってくださいっ。」
わあわあ言っている間に1年もやってくる。