第1章 【3度目の始まり】
「何やってんの、お前ら。」
聞きなれた自分達のまとめ役の声に4人はギクーッとし、成田は文章を打ち込んでいたスマホを自分の背に隠した。
「別に何もねーよ。」
木下が言うが縁下力はその表情に動揺があるのを見逃さない。
「俺にバレたらって何の話。」
たちまちのうちに目から光がなくなる力に4人は戦慄する。
「成田は後ろに何隠してんの。」
「お、俺のスマホだけど別に隠してなんか。」
力はふーんと呟き、
「じゃあ見せて。」
「え。」
「画面。」
たちまちのうちに顔から血の気が引いた成田を責める事は誰にも出来まい。ホームボタンを押してメモ帳アプリをバックグラウンドに回す余裕もスタンバイにして画面をロックする余裕もなかったのだ、どう考えてもスマホを差し出した瞬間にやらかしてたことが力に露見する。故に成田はあっさり降伏した。
「はい。」
渡されたスマホの画面を見て力の顔から表情がなくなった。4人はアカン俺死んだと同時に思う。
「お前ら」
しばし画面に打ち込まれていた内容を見つめてから力は2年仲間をジロリと見た。
「うちの美沙で何遊んでんだ。」
「わり、縁下。おめーんとこの妹がおもしれえからつい。」
「つまり事の発端はお前か、田中。西谷が乗るのは仕方ないとして木下と成田は祭りの時に続いてどういう事なんだ。特に成田はご丁寧に打ち込みまでして。」
木下と成田は冷や汗を流しながら目をそらした。どうせ勘弁してもらえないのはわかっていたがそうした。力はにっこり笑って言った。
「お前らとりあえずそこ座って。」
田中と西谷は菩薩顔になった。木下と成田は顔に縦線が入った。