第8章 【外伝 鉄壁とエンノシタイモウト】
その後日、伊達工業高校男子バレー部練習中の事である。二口はたまたま近くにいたマネージャーの滑津舞に言った。
「お前さぁ、俺にいきなり飴貰ったらどうする。」
「え。」
滑津は一瞬固まり、しかしはっきりと言う。
「不気味、何か企んでるのかなって思う。」
「だよな。」
二口は呟く。
「普通が一番だよな。いつも助かるわ。」
「ちょっと、マジで何なの不気味っ。」
滑津が驚く中、二口は答えずにコートに戻る。
「何あれ。」
滑津は呟き、
「何かあったんですかね。」
リベロの作並浩輔が首を傾げる。更にセッターの黄金川貫至が無駄にでかい声を上げた。
「主将っ、お加減が悪いんですかっ。」
「どこをどーやったらんな流れになんだ黄金川っ、バカヤローっ。蹴り入れてやろーかっ。」
「うおおおっ、すみませんっすみませんっ。」
「とりあえずお前黙れっ、天然ボケはあいつだけで間に合ってっからっ。」
「あいつって、どなたですかっ。」
「何でもねーよっ。」
「ホント何なのあれ。」
呆れ返る滑津に青根がボソッと呟いた。
「薬丸美沙。」
「え。」
「いや、今は縁下美沙だった。」
聞こえていた滑津と作並はやはり首を傾げるしかなかった。
次章に続く