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【ハイキュー】エンノシタイモウト第三部

第8章 【外伝 鉄壁とエンノシタイモウト】


戸惑う縁下美沙に二口は言った。

「めんどくせー人生経験してる割にお前警戒心とかない訳。」

更に戸惑う縁下美沙、視線が完全に二口から逸れている。言動もさることながらこいつは何か変だとずっと二口は思っていた。何だろうと思っていたらやっとわかったのだ。こいつは人を疑う事をあまり知らない。

「人の悪意に鈍感やとは他でも言われました。実際学校で面倒臭い事があってそっから人気のないとこにおる時は気ぃつけてます。せやけど、どうしても余程でなかったらわからんもんはわからんくて。兄さんにも心配やって言われとうけど私」

だんだん視線が下へと落ちていく縁下美沙を見てチッと二口は舌打ちした。そのつもりじゃなかったのに結局俺いじめてるみたいじゃねえか。

「ああもういい、泣くな。」
「泣いてへんもん。」
「泣きそうな面してんじゃねーか、いいから泣くな。」
「え、ああ、はひ。」

混乱したのか縁下美沙は語尾がおかしかった。二口はもう一度舌打ちをしてふと自分達がいる場所の近くにコンビニがある事に気づく。

「ちょっとお前そこ動くな。青根、こいつ見張っとけ。」

青根は頷き、縁下美沙は見張るてと呟く。

「うるせえ、俺はちょいと行ってくる。」

二口は駆け出した。残された縁下美沙が青根を見上げてこう言っていた事を二口は知らない。

「二口さんはどないしはったんですか。」
「わからない。ただ、」
「はい。」
「気に入ったのだと思う。」
「はぁ。」

その二口はしばらくしてから戻ってきた。

「おらよ。」

コンビニの袋をガサガサとやって中の物を美沙に放る。スティック型に包装された飴だった。

「飴ちゃん。」

関西風に呟き、縁下美沙は顔を上げた。

「ありがとうございます。」

あまり表情が変わらなかった所へ見せたその笑顔はやはり人を疑う事を知らないもので二口は何故か顔がまた熱くなった。調子狂う、と思った。茂庭さんはどうやってこいつの相手をしたんだろう。縁下美沙は早速二口がくれてやった飴の包装を剥いて口に放り込んでいた。

「何ソワソワしてんだよ、青根。」

一緒にその様子を見ていた青根に二口は呟いた。

「嬉しそうだ。」
「単純な奴だぜ。」
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