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【ハイキュー】エンノシタイモウト第三部

第8章 【外伝 鉄壁とエンノシタイモウト】


「私、養い子なんです。良かったら詳細は茂庭さんにお聞きください。」
「嫌じゃないなら今聞きたい。茂庭さんは忙しい。」

女子はそうですかと呟く。ほっとかれてしまった二口は面白くなかったので渋々静かにして耳を傾ける。

「私、両親がいなくてずっと関西人のばあちゃんに育てられたんですけどそのばあちゃんも亡くなりまして身寄りがなくなった所へ母の友人だったご夫婦の所に引き取られて学校も烏野に変わったんです。つまり写真のこの人は義理の兄です。」

話が終わった瞬間青根が無表情で固まり両目から塩水が吹き出した。

「どわっ、青根いきなり泣くなっ。」

突っ込みつつも二口だって心穏やかではない、まるっきりドラマか漫画みたいな身の上話をしれっとした顔で語られて反応に困る。青根は静かに号泣しながら制服の袖で目を拭っているし本当にどうしようもなかった。

「お、お前、」

ちょっと震えながら二口は尋ねた。

「名前は。」
「縁下美沙です。」
「エン、」
「エンノシタです。兄は力です。」
「縁の下の力持ち。」
「多分兄はよく言われてると思います。」
「だろーな。俺だったら速攻言うわ。」
「兄の前で言っておちょくったら怒りますよ。」
「へーへー、兄妹仲がよろしーよーで。」
「こ、このっ」

とうとう縁下美沙はポケットからハンカチを取り出した。それで二口を叩(はた)きそうな勢いなのに気づいたのか青根がそっとその手首を掴む。

「暴力はよくない。」
「う。すみません。」

縁下美沙は大人しくなった。が、青根はすぐにその手を離さない。何やってやがんだと二口が見ているとどうやら青根は何か気にしているらしい。

「細い。」
「いやあの」
「日向翔陽より。」
「あ、日向ご存知ですか。学年は一緒です。相変わらず元気に頑張ってますよ。」
「そうか。ちゃんと食べているのか。」
「どっちが。」
「お前が。」
「それよう聞かれるなぁ、ちゃんと食べさしてもらってますよ。むしろ間食をするなと兄から言われます。」
「兄が。」
「はい。」

一連の会話を聞いていた二口は思わず突っ込んだ。

「親かよ。」
「どうも私の事になると心配性になる人で。」
「変な野郎だ。」
「あ、またこの人はっ。」
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