第1章 【3度目の始まり】
そうして最終的に成田が文章にまとめたものが下記の通りである。
"縁下美沙
烏野高校1年5組。15歳。最近の悩みは「兄さんがちょいちょい過保護な気がする」→「オンラインでもオフラインでも兄妹で弄られる」
縁下力の義妹、旧姓は薬丸。生まれた頃には両親が既に他界、母方の祖母に育てられるも高校に上がってしばらく後に祖母も他界した為に実母の友人であった縁下家に引き取られて烏野高校に編入したという異色の経歴を持つ。祖母が瀬戸内海方面出身の為関西弁、更に言い回しも古風。ただし許可のない相手と話す時や本気で怒った時は標準語になる。(曰く関西弁は回りくどくて喧嘩に向かない為)
性格は真面目で人見知り、半分ボケ(ちゃんとしている時とボケている時とが半々)、ブラコンで自身の外見等他のコンプレックスも強い。スマホとパソコンが好きなオタク。自分で絵を描いて作る動画(描いてみた動画)の投稿者でもあり、ハンドルネームはままコ(継子だから)。自己紹介でその辺にいる普通の動画投稿者だと公言する事もしばしば。(大抵の場合それは普通なのかと返される)
縁下家に入って間もない頃に義兄の力を悪く言った相手に怒った件をきっかけに力からは溺愛されており本人も力に依存している。他、何気に親切でノリもよい為青城の及川、音駒の灰羽と山本などコアなファンがついている。"
「こんな感じでどうかな。」
「バッチリじゃねーかっ。」
西谷がテンション高く言い、木下がウシシシと笑う。
「いやぁコアなファンが云々(うんぬん)ってとこがいいな。」
「しかしこうしてまとめてみると縁下妹はやっぱ濃いぜ。」
発案した田中はうんうんと1人納得していて文章をまとめた成田はニッと笑った。
「縁下にバレたら殺されそーだけど。」
「力は美沙の事になると容赦ねーからなっ。」
「ああそうだ、もし縁下にバレた時は連帯責任な。誰も逃げるなよ。」
「そもそも逃げれっかぁ。ノヤっさんすら捕まえる縁下だぞ。」
「いっとう最初に田中が締められる気もする。」
「木下、てめーっ。」
4人はこうして人ん家の義妹をネタに遊んでいた訳だがもう少し背後に気をつけるべきだったかもしれない。