第1章 【3度目の始まり】
烏野高校2年4組、縁下力には今義妹がいる。美少女ではなく今時でもない、性格や物言いがどこか変わっているけれども力にとっては可愛い可愛い義妹である。
そんなある時の部室にて、力と同じ男子排球部の2年仲間、田中龍之介がふーむと唸っていた。
「何唸ってんだ。」
同じく2年で力と同じクラスの成田一仁が尋ねる。
「前から思ってたんだが縁下んとこの妹ってよ、何か漫画のキャラみてえだよな。」
「まあ濃いけど。」
ボソッと呟いたのは木下久志だ。
「それで龍、急にどーした。」
田中とセットでハイテンション組とされる西谷夕が先を促す。
「いやたまたまスマホ弄ってたらネットの百科事典で漫画の人物紹介みてーなの見かけたんだよ。縁下妹をあれみたいに書いたらどーなんだろなって。」
「おもしれえじゃねーか、龍っ。やってみようぜ。」
「おもしれーとは思うけど大丈夫か、縁下にバレたら俺らえらいことになるぞ。」
木下が成田に目をやりながら言う。
「またしょうもないことを、と言いたいとこだけど」
成田は言った。
「ちょっとやってみよっか。」
木下がマジかと笑いながら呟いた。
そういう訳でまずこいつらはご丁寧に4人でブレインストーミング(Brainstorming、集団で自由に思いついたことを出し合うこと、略してブレスト)をした。備品のホワイトボードの使い方が何となく間違っている気がするしよくそんな時間あったなという話だがそっとしておこう。